第93章 気絶したふりじゃないのか

 小林莉那はベッドに半身を預け、シーツよりもなお白い顔で、ぬるめの白湯を両手で抱えるようにして、ちびちびと口に運んでいた。

 吉野結人はベッド脇の椅子に腰を下ろし、両手を組んで額に当てたまま、眉間に深い皺を刻んでいる。

 会場から病院へ駆けつけ、検査や医師からの確認をひととおり受け、取り乱した莉那をなだめ――ようやく落ち着いたと思った矢先だ。こめかみが、ずきずきと脈打つ。

「結人……」

 掠れた声が、病室の重たい静寂を破った。

「ごめんなさい……ほんとに、ごめんなさい……また迷惑かけちゃって……。自分でも思わなかったの。こんなに人が多いだけで、息ができなくなって、心臓がばくばくして...

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