第29章 彼のことが好きになったの?

平山亜美の視点:

 宮下駿介はスマホを取り上げ、画面を一瞥した。眉が、ほんのわずかに寄る。次の瞬間には通話ボタンを押していた。

「……もしもし」

 受話口の向こうから、切羽詰まった男の声がかすかに漏れる。何を言っているのかまでは聞き取れない。

「……確かなんだな」

 駿介の声が、すっと低く沈んだ。

「場所は? ……分かった。目を離すな。今すぐ行く」

 それだけ言って、通話を切る。

 振り向いた彼の眉間には、氷みたいな陰が落ちていた。顔色も、少し暗い。

 そして私を見て言う。

「亜美、悪い。急ぎの用事ができた。今すぐ処理しに行かないといけない」

 一拍置いて、確かめるよう...

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