第35章 彼女を一人置き去りにしたのか?

平山亜美の視点

坂井陽は宮下駿介の視線に追い詰められ、じりじりと後ずさった。顔から血の気が引き、唇が震える。

「ち、違うんだ、おじさん! 聞いてくれ! あの時は本当に切羽詰まってた! あの殺人犯がもう目の前まで来てて……俺がドアを開けたら、あいつが中に突っ込む。中には人が大勢いたんだぞ。そんなの、取り返しがつかない! もっと多くの人を助けるためだった! 仕方なかったんだ! 亜美……亜美なら分かってくれるはずだろ!」

次の瞬間。

宮下駿介が、ばっと立ち上がった。

そして――拳が、坂井陽の顔面に叩き込まれる。

「ぐあっ!」

悲鳴が上がり、坂井陽の体がよろめいて、背中から壁に激突した...

ログインして続きを読む