第38章 実に滑稽だ

平山亜美の視点

 私はまだ状況を飲み込めていなかった。すると次の瞬間、背の高い女が風みたいな勢いで病室に飛び込んできた。

 二十代後半くらいだろうか。ゆるく巻いた長い髪に、隙のないメイク。真っ赤なワンピースが、白ばかりの病室でひどく目を引く。

 彼女は入ってくるなり、真っ先にベッドの宮下駿介を見た。そばに立っている私なんて、最初から存在しないみたいに。

「駿介! 会議が終わってニュース見たの! 大丈夫? どこケガしたの? ひどいの?!」

 矢継ぎ早にそうまくしたてながら、彼女はベッド脇へ駆け寄った。真っ赤なネイルを塗った手を伸ばし、宮下駿介の掛け布団をいきなりめくろうとする。

「...

ログインして続きを読む