第13章 まさか妊娠したのか?

低い男の声が、張りつめた沈黙を割った。

結城永司だった。

淡々とした口調で言う。

望月朝夜は、スプーンでスープをかき混ぜていた手を止めた。

小福は、結城永司が飼っていたゴールデンレトリバーだ。彼が病気になる前からの、いわば相棒みたいな犬。

結婚してから世話の役目は、自然と朝夜の肩に降ってきた。餌、シャンプー、散歩、体調を崩せば病院へ――その全部が。

人の心が分かるみたいな犬だった。冷えきったあの屋敷で、あの子だけが朝夜に温度をくれた。

結城永司の治療には新薬が使われていて、動物の毛に強いアレルギー反応が出る。そのせいで、朝夜は小福をペットセンターに預けるしかなかった。

朝夜が...

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