第16章 お前に触れたいとでも思ってるのか?

「結城永司、どうしたの……?」

探るように問いかけると、手首のもがきも止まった。

返事はない。

ただ彼は顔を伏せ、焼けつく額を彼女の肩に押し当ててくる。

「熱い……」

掠れた声が、喉の奥で溶けた。

薄い布越しでも分かる灼ける体温に、望月朝夜はぞくりと震える。

――これで、確信した。

「誰に薬を盛られたの? 相馬万珠……?」

朝夜が息を詰めて問うと、結城永司の体がびくりと固まった。

ゆっくりと顔が上がる。

薄暗い光の中、ようやく見えた彼の瞳。

いつも氷を被せたように冷たい黒が、今は欲望と葛藤で渦を巻いている。

視線は真っ直ぐ、獲物を呑み込むみたいに朝夜を捉えた。

「...

ログインして続きを読む