第19章 冷酷で残忍

望月朝夜は自分を憐れんだりはしなかった。机の前に腰を下ろし、客室に備え付けのノートパソコンを立ち上げる。

手元の案件の引き継ぎを早急に終えなければならない。ドイツ側への入学申請の準備もある。

結城永司と引っ張り合っている時間など、ない。

それに――お腹の中の、この小さな命は。

望月朝夜は視線を落とし、そっと下腹部に手を重ねた。

守る。

どんな手を使ってでも。

……

その後の日々は、拍子抜けするほど静かだった。

結城永司は本当に忙しいらしい。望月朝夜が真園に戻った翌日、彼は欧州へ飛んだ。

時折、深夜にスマホの振動で目を覚ます。画面に表示されるのは、彼の名前。

通話をつなげ...

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