第23章 彼女を甘く見ていた

「今、あいつの会社にいる」望月朝夜は、少し離れた場所に立つ結城永司を一瞥した。

永司は乱れた身なりを整え、またあの非の打ちどころのない、上から見下ろすような姿に戻っている。

ただ――その目だけは、なおも彼女を射抜くように捉え続けていた。

「……そうか」

受話器の向こう、爺様の声はいつもよりも掠れて、息が苦しそうだった。

「お前たち……今から一度、戻ってこい。ちょっと……具合が……」

言い終える前に、電話口でげほっ、げほっと切迫した咳が続き、使用人の慌てた叫びが重なった。次の瞬間、ぷつりと通話が途切れる。

「結城爺さん? お爺さん!」

切れたスマホに向かって二度呼びかけ、望月朝...

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