第27章 結城夫人は他の男と密会する

「金のためなら手段を選ばない毒婦め!」

誰かが人混みの中で、そんな声を張り上げた。

その一言で、場は一瞬にして崩壊した。

より良い画角を奪おうとする連中が、彼女の身体を押し合いへし合いし始める。

望月朝夜は揉みくちゃにされ、よろめき、ハイヒールの踵をぐきりとやってしまった。体勢を崩したまま、みっともなく前のめりに倒れ込む。

――誰も、手を伸ばさない。

彼らがするのは、レンズを掲げて、今この瞬間の惨めさを貪るように撮り続けることだけ。

孤立無援。

混乱の渦の中で、彼女の脳裏に――ばかばかしいほど唐突に、結城永司の顔が浮かんだ。

彼が、今の自分を見たらどうするだろう。

駆け寄...

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