第29章 もうとっくにデキてたんだろう

望月朝夜はスマホを握ったまま、しばらく何も言えなかった。

その日の午後、望月グループの株価は、主力研究チームが集団離脱したという報せを受けて、あっけなく急落した。

望月朝夜が自ら育て上げたチームは、望月グループの医薬事業そのものを支える心臓部だった。

彼らが抜けた瞬間、研究開発部はたちまち抜け殻になる。進行中だった複数の案件も、その場で止まった。

さすがに望月当主も、もう座ってはいられなかった。

夕暮れどき。

マンションの呼び鈴が、壊れそうな勢いで鳴らされた。

須藤千奈はソファに寝転がり、望月朝夜の代わりにネット上の悪質な書き込みを仕分けしながら、ぶつぶつ毒づいていた。呼び鈴に...

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