第31章 すべて過ぎ去った

電話を切った。

胃の奥で暴れるような吐き気が、また容赦なくせり上がってくる。

朝夜は洗面所へ駆け込み、便器にしがみついたまま、えづいて、えづいて……最後には酸っぱい胆汁しか出なくなった。

視界がぐらりと暗転し、足元が頼りない。

「ちょっと、見てよその顔! あのクソカップルのために、そこまでしてやる価値ある!?」

須藤千奈が飛び込んできて、朝夜の身体を支えながら、じれったそうに足を踏み鳴らす。

朝夜はうがいをして、冷水で頬を叩いた。

顔を上げると、鏡の中の自分は血の気がなく、紙みたいに白い。

――私は、まだ子どもがいる。

倒れるわけにはいかない。

「千奈……」壁に手をつき、...

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