第41章 話をはっきりさせる

「前は私が愚かだった。自分のものでもない場所に居座ってた……だから、返すの」

「協議書にはもう署名した。私、何もいらない。家も、お金も、株も。指一本触れない。欲しいのは……自由だけ」

結城永司は彼女を見つめ、ほんの一瞬、喉がきゅっと詰まった。

こんな望月朝夜を、彼は知らない。

泣かない。騒がない。取り乱さない。

――異常だ。

異常すぎて、胸の奥に刺さったままの「疑い」という名の弦が、また弾かれる。

欲がない顔をすればするほど、永司にはそれが、手の込んだ罠に見えた。

「望月朝夜」

口角を引きつらせ、短く笑う。熱のない、乾いた笑い。

「いい演技だな」

俺は全部見抜いている―...

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