第51章 不出来な母親

望月朝夜も、かつては期待していた。

結城永司が、あんなふうに優しくしてくれる日が来るのだと。

――けれど、それはただの妄想だった。

いま彼は、持てる柔情のすべてを、別の女へ注いでいる。

そして、その女の腹の中にいる子へ。

「朝夜さん、具合でも悪いの?」

相馬万珠は、望月朝夜の顔色がさっと青くなったのを見て、心配そうに覗き込んだ。

けれどその声の奥には、隠しきれない弾む気配が混じっている。

「……別に」

朝夜は視線を逸らした。

「ならよかった」

万珠はほっと息をつき、それから思い出したように言う。

「そうだ。永司さんがね、赤ちゃんが生まれたら、朝夜さんに“おばちゃん”に...

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