第55章 最良の選択だ

望月朝夜は彼を見つめた。唇がかすかに震えるのに、声にならない。

自分が守り抜いてきた最大の秘密が、不意打ちのように暴かれたのだ。

長い沈黙。あまりにも長くて、林田修は――もう彼女は何も言わないのだろう、と覚悟しかけた。

そのとき、朝夜がふいに口を開く。

「……子どもは……大丈夫?」

この状況で、まだ子どもの心配をするのか。

林田修は目を閉じた。再び開いたとき、瞳に燃えていた怒りも、胸を裂く痛みも、底深い諦めへと変わっていた。

「医者は、胎児は今のところ問題ないと言ってた。だが――お前がこのままだと、誰にも保証できない」

彼は立ち上がり、窓辺へ歩く。背を向けたまま言葉を続けた。...

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