第57章 彼女はもう耐えられなかった

望月家の屋敷――。

書斎では、望月家の当主がメールに目を通し、満足げに口元を歪めていた。

「こいつは実にうまい手だ」

傍らから覗き込んだ夫人も、すぐに意味を悟ったらしい。

「太田健臣にあの子をうまく懐柔させて、何不自由なく囲っておくのね。そうすれば、自分に後ろ盾ができたと思い込んで、死にもの狂いで研究を進めるでしょうし。もうすぐ成果が形になる――ってところで、私たちが全部いただいて、結城家の敵筋に高く売る。大儲けできるうえに、林田家と結城永司までぶつけられるなんて、こんな話ないわ。望月朝夜なんて、最期まで自分がどうやって殺されたのかも分からないんじゃない?」

当主は鼻で笑った。

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