第58章 まだ彼に幻想を抱いているとは

「曽我社長、太田社長。申し訳ありません、今日は体調が優れないので、先に失礼いたします」

望月朝夜は席を立ち、脇に置いていたバッグを手に取った。

「この後のプロジェクトの詳細は、太田社長が引き続きご相談させていただきますので」

息が詰まるような個室から、一刻も早く出たかった。

「帰るだと?」

曽我徳安が卓を叩きつけた。グラスがカラン、と震えて音を立てる。

顔から笑みが消え、どす黒い陰が差した。

「望月さん、どういうつもりだ。話はまだ終わってねえ。勝手に席を立って、逃げる気か?」

個室の空気が、一瞬で氷点下まで落ちる。

「曽我社長、私は……」

「とぼけんな!」

曽我徳安が勢...

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