第120章

雪菜は怒りのあまり全身をわななかせた。あれほど苦労してこっそり抜け出し、薬まで手に入れてずっと身を潜めていたというのに、肝心の和也がそのまま眠りこけてしまうとは!

だが、ここまで来て手ぶらで引き下がるわけにはいかない。

ベッドで熟睡する和也を見下ろし、雪菜の瞳に陰湿な光がよぎる。すぐに妙案が浮かんだ。何も起きていなくとも、いかにも「何かがあった」という痕跡をでっち上げればいいのだ。

彼女は唇を噛みしめると、ベッドに這い上がった。和也のシャツの襟元を乱暴に引き裂くように開け、首筋や胸元にいくつも赤いキスマークを強く吸いつけ、さらに腕には爪を立てて引っかき傷を何本もこしらえた。

それだけ...

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