紹介
三年間の結婚生活。世界的デザインコンテストの王座を捨て、冷淡な夫のために家庭に尽くしてきた主人公。
しかし、結婚記念日のその日、夫のスーツのポケットから見つかったのは、見知らぬ女の淫らな黒ストッキングだった。
さらに夫は、母親を亡くして寂しいからと、あざとい初恋の元カノを我が物顔で家に連れ込み、主人公を「我が儘を言うな」と冷酷に突き放す。
すべての未練を失った主人公は、ついにクシャクシャになった離婚届を突きつけ、一切の未練なく家を飛び出した。
元夫は勝ち誇っていた。「あいつは俺に依存している、どうせすぐに泣きつくだろう」と。だが翌日、元夫の経営する超一流企業のロビーに、大量の「大人のおもちゃ」が届く。
メディアや社員の前で赤裸々に読み上げられる注文リスト。
会社中に広まる「冷徹な社長は、実は夜が立たない」という致命的な噂。それこそが、主人公が仕掛けた容赦なき復讐の始まりだった!
「今まで眠っていた私の才能、世界に見せてあげる」
封印していた天才デザイナーとしての名声を引っ提げ、海外のトップブランドからのスカウトに応じた主人公。
豪華なクルーザーを買い付け、自分を極上に癒やしてくれる最高のイケメンモデルたちをはべらせ、自由でラグジュアリーな新生活を謳歌する。
一方、主人公が本当に他の男と肌を寄せ合う姿を目の当たりにし、生まれて初めて激しい嫉妬と絶望に目を血走らせる元夫。
「ハドソン氏、公の場でベタベタするのはおやめなさい。お気に入りの愛人の名誉に影響しますから」
どん底から世界の頂点へ駆け上がる、爽快感200%の現代逆転シンデレラストーリー、ここに開幕!
チャプター 1
結婚記念日のその日。夏目葵(なつめ あおい)は藤原和也(ふじはら かずや)のスーツを整えている最中、ポケットから黒いストッキングを見つけた。
葵は普段ストッキングなどほとんど履かない。しかもそれは妙にいやらしく、下品なデザインで--どう見ても自分のものではない。
指先でつまむと、ひやりと冷たい。
そのとき玄関の鍵が開く音がして、続いて女の甘ったるい笑い声が聞こえた。
「和也、私を家に連れてきて……葵、怒らない?」
顔を上げた葵の視界に、和也が女を抱くようにして入ってくる姿が映る。
女を見た瞬間、胸の奥がきゅっと縮んだ。
見知った顔だ。和也の初恋の相手、九条雪菜(くじょう ゆきな)。
和也は片腕で彼女の腰を抱き、もう片方の手に小さなスーツケースを提げていた。
葵を見ても眉をわずかにひそめただけで、説明のひとつもなく、そのまま雪菜を連れてリビングへ入ってくる。
葵は冷えた声で言った。
「……どういうこと?」
和也が口を開くより先に、雪菜が割り込む。
「葵、誤解しないで。母が亡くなったばかりで……一人でいるのが怖いの。和也が心配して、数日ここにいさせてくれるって」
葵の手のストッキングに気づくと、雪菜ははにかむように和也の胸へ寄り、頬を赤らめた。
「それ、前にスカートに引っかけて破れちゃって、替えたやつ……どうして和也のところに?」
含みのある声色。艶っぽい言い回し。
葵は黙り込む和也を見た。声が震える。
「……説明、してくれないの?」
覚悟はしていた。それでも、彼の態度を知りたかった。
「説明することでもないだろ」
和也は淡々と言い、葵を見る目には露骨な倦怠が浮かんでいた。
「妻ぶって、俺を問い詰めるな。そもそも、お前が必死にうちの祖母に取り入らなきゃ、俺が結婚したと思うか?」
葵はその場で固まった。握りしめた指の関節が白くなる。
法的な妻だから何だというのか。和也は彼女を愛していない。むしろ、恨んでいる。
「葵、誤解しないで。私と和也は何も--」
雪菜は慌てて言いながらも、腕は和也に絡めたまま。
和也はうっとうしそうに眉を寄せた。
「相手にするな。母親が亡くなったばかりなんだ。俺がそばにいるのは当然だろ」
幼なじみの二人。雪菜の母親も和也を可愛がっていた。葵がいなければ--きっと、とっくに家庭を持っていた。
「そう。初恋の人がどれだけ大事かって話ね。お母さんがいなくなったからって、全部投げ出して駆けつける」
葵は痛みを噛みしめながら言葉を継ぐ。
「私の父が死んだときは? 葬式にすら来なかったくせに」
その言葉を口にするだけで、胸が張り裂けそうだった。
二年前。父を亡くした彼女に、和也は『仕事が忙しい』の一言で姿を見せず、弔意の品だけを大量に送ってきた。
母の夏目奈央(なつめ なお)は不満を漏らし、葵はそれでも彼をかばった。
今の態度。あまりにも皮肉だ。
和也が返す前に、雪菜がまた口を挟む。
「葵、全部私が悪いの。母の死が受け入れられなくて……和也が私を支えてくれただけ。お願い、和也を責めないで?」
「へえ」
葵の唇が冷たい笑みを描く。
「じゃあ、もう平気なんでしょ? それなのに、いつまで私の夫に絡みつくの?」
和也が即座に不機嫌になった。
「葵、いい加減にしろ。くだらない騒ぎを起こすな」
「くだらない騒ぎ?」
その瞬間、葵の感情が堰を切った。
涙で赤くなった目で雪菜を指さし、叫ぶ。
「今日は結婚記念日なの! それなのに初恋の女を連れて、平気で家に上がり込む……私を何だと思ってるの?!」
けれど、彼女の悲痛な叫びも彼の顔に罪悪感を一欠片も浮かばせない。むしろ、さらに苛立ちが濃くなる。
「もういい! ヒステリーみたいに喚くな。雪菜の休みの邪魔になる」
そう言って、和也は雪菜を支え、二階の寝室へ向かった。
葵は絶望とともに二人の背中を見送る。三年間の結婚生活が、最初から最後まで笑い話だった気がした。
静かな声が自分の口から落ちる。
「離婚しましょう」
和也が足を止め、ゆっくり振り返る。
「……何だって?」
彼の中の葵は、策略を巡らせて藤原家に入り込んだ女だ。簡単に離婚など口にするはずがない。
「離婚よ」
葵は繰り返す。
「あなたが初恋の人を忘れられないなら……私は二人を成就させてあげる」
和也の顔色が沈む。
「覚悟はできてるのか?」
「できてる」
雪菜が慌てて割って入った。
「葵、そんな意地を張らないで。和也とちゃんと話して--」
「話すことなんてない」
和也は鼻で笑う。
「離婚したいならすればいい。俺を離れて、どこへ行けるのか見ものだ」
そう言い捨て、雪菜を連れて上へ消えた。
葵はがらんとしたリビングに立ち尽くし、しばらくしてから二階へ向かう。
主寝室の前を通りかかったとき、中から雪菜の甘い声が聞こえた。
「和也、怖いの……目を閉じると、ママの顔が……」
扉は少しだけ開いていた。
隙間から見えたのは、和也の胸にすがって泣く雪菜。
「今夜、ここにいてくれる? この前みたいに……」
和也は優しく髪を撫で、低い声で答えた。
「……ああ」
葵は目を閉じた。
心が、その瞬間に完全に死んだ。
三年間、和也は一度も彼女に触れなかった。夫婦はずっと別々の部屋で眠った。
彼が冷淡なのではない。
ただ、その優しさは最初から彼女に向けられていなかっただけ。
葵は黙って客間に戻り、ベッド下からスーツケースを引きずり出して荷造りを始める。
そのとき携帯が鳴った。
流暢なフランス語が耳に入る。
「夏目様、パリのファッションデザイン会社です。以前何度かご連絡しましたが、チーフデザイナー・アシスタントの件……ご検討はいかがでしょう?」
三年前、国際デザインコンペで優勝した彼女には、数えきれないほどのオファーが届いた。だが彼女は全部断った。
当時の彼女は和也だけを見て、家庭に入って『良き藤原奥様』になろうとしていた。
やがて連絡は途絶えたが、パリのこの会社だけは執拗に誘い続けてきた。
相手は続ける。
「社長から、ご結婚されたと伺っております。ご家族の住居もこちらで手配できますので、もしご家族のことが気がかりでしたら--」
「結構です」
葵は淡々と言った。
「行きます」
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けれど、私の隣で横たわるこの男の正体は、彼が語ったものとはまるで違っていた。
魅惑的な笑顔と抗いがたい容姿の下に隠されていたのは、仇敵から身を隠す億万長者の素顔だった。
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億万長者のシンデレラ
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アミーは彼女の人生に入り込み、パックの生活に引き戻すアルファの魅力に抗えない。彼女は長い間感じなかった幸せを見つけるだけでなく、ついに彼女の狼も目覚める。フィンレイは彼女の運命の相手ではないが、親友になる。パックの他のトップ狼たちと共に、彼らは最高で最強のパックを作るために働く。
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