第百二十一章

車は滑らかに走り続けている。葵は窓の外を飛ぶように過ぎ去る街並みを見つめながら、ここ数年の出来事を頭の中で何度も反芻していた。

何度も和也にチャンスを与え、もう少しだけ待とうと自分に言い聞かせてきた。だが、その果てに待っていたのは、いつも雪菜の挑発と、和也がいつまでも片付けられない厄介事だけだった。

昨夜出かける時、彼は葵を抱きしめ、帰ったらゆっくり一緒に過ごそうと言ってくれたのに。たった一夜で、またこんなことになってしまった。

葵は目を閉じ、目頭に込み上げる熱いものをぐっと押し殺した。再び目を開けたとき、その瞳には氷のような静けさだけが残っていた。

四十分後、車は藤原グループの本社...

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