第百六十八章

雪枝は晃の鼻先を指さして怒鳴りつけた。

「出て行きなさい! あの子の金なんて要らないわ! ここは私の家よ、どこへも行くもんですか! 和也に伝えなさい、私を追い出したいなら、私を殺してからにしろってね!」

「奥様、どうか困らせないでください」

晃は腰をかがめて床に落ちた航空券を拾い上げ、あくまで恭しい口調を崩さなかった。

「これは藤原社長の命令であり、私も指示に従っているまでです。もし出発されないのであれば、奥様のカードをすべて利用停止にすると、藤原社長は仰っていました」

「やれるもんならやってみなさい!」

雪枝は怒りで全身を震わせた。

「私はあの子の母親よ。私のカードを止めるで...

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