第172章

葵は振り返ることもなく、ただ手をひらひらと振った。

駐車場に消えていく葵と梨乃の後ろ姿を睨みつけながら、由美は悔しさに地団駄を踏んだ。

そして、まだ地面に座り込んでいる雪枝を振り返る。

「お母さん! 見たでしょ、あの態度! 離婚なんて全然怖がってないじゃない! どうするのよ!」

雪枝はギリッと歯を食いしばった。

「怖がってないですって? 強がってるだけに決まってるわ! 藤原の奥様という座を手放したい女がどこにいるっていうの」

「わざとあんな口を利いて、私たちを油断させようとしてるのよ!」

「じゃあ、これからどうするの?」

由美が眉をひそめる。

「決まってるじゃない」

雪枝...

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