第190章

「彼には自分の家があるし、お義母さんも妹もいる。それに、彼の子を産むのを待ってる雪菜だっているじゃない。そっちに頼めばいいでしょ。もうすぐ離婚する元妻に連絡してこないで。迷惑よ」

そう言って、葵は電話を切ろうとした。

「待って! 夏目さん、切らないで!」大毅が慌てて叫んだ。

その時、電話の向こうから和也の取り乱した声が聞こえてきた。

テーブルに突っ伏していた彼は、葵の声を聞くや否や跳ね起き、大毅の手からスマホをひったくったのだ。

「葵! 葵! お前なのか?」電話越しに大声で叫ぶ。「葵、俺が悪かった! 本当に俺が間違ってた!」

和也はまるで蜘蛛の糸にすがるかのように、大毅のスマホを...

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