第191章

その様子を見て、葵は彼がピンピンしているとしか思えなかった。

当然、顔に浮かぶのは冷ややかな表情だけだ。

「夢よ。そのまま寝てなさい」

葵は仏頂面で言い放つ。

背を向け、洗面所へ向かう。

せっかく来たのだ。顔くらい拭いてやって、少しは目を覚まさせよう。

「葵! 行かないで!」

葵が離れようとするのを見て、和也は途端に焦り出した。行かせたくない。

「葵、行かないでくれよ……お願いだから……」

これは自分の夢ではないのか。なぜ夢の中でまで、彼女は去ろうとするのか。

考えれば考えるほど理不尽に思え、和也は夢の中の葵を責めるような声を上げた。

その言葉に、葵の足がピタリと止まる...

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