第194章

電話越しに聞こえた彼の涙声に、葵の心臓がどきりと跳ねた。

昨晩、ホテルの部屋での光景が脳裏にフラッシュバックする。

普段は誰よりもプライドが高く、見下ろすような態度の和也が、まるで迷子になった子供のように、潤んだ瞳で彼女を見つめていた。

行かないでくれと、何度も何度も哀願してきた。

掠れた声。絶望に染まった瞳。

あの時、葵は危うく絆されそうになっていた。

認めざるを得ない。あの時の和也の姿は、確かに葵の琴線に触れるものがあった。

葵は小さく咳払いをして、心に波打つ動揺を押し殺した。

長い沈黙のあと、ようやく口を開く。

「……投稿してもいいわ。でも、私は何一つ協力しないから」...

ログインして続きを読む