第200章

葵が口を開くより先に、正美はすべてを手配し終えていた。

そのとき、搭乗を促すアナウンスが響いた。

「よし、時間だ」

正美は立ち上がり、彼女たちのリュックを手に取った。

「パリに着いたら無事を知らせてくれ。何かあったら、いつでも電話してこいよ」

「気をつけてな」

正美は葵を見つめる。その瞳には名残惜しさが溢れていた。

だが、この短い別れは、いつかまた再会するためのものだ。

出国してしまえば、もう和也の影に怯えることもない。そう思うと、正美の口角は自然と上がった。

搭乗口の向こうへ彼女たちの姿が消えるのを見届けてから、正美は背を向けた。

空港のロビーを出た直後、不意に胸ぐらを...

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