第21話

葵は警戒するように周囲をぐるりと見回し、再び蓮へ視線を向けた。

「もう追っ手はいない。警察を呼ぶなり、身内の人間を呼ぶなり好きにして。私は用があるから、これで」

立ち去ろうとする彼女を引き留めるように、蓮は慌てて地面から起き上がり、その手首を掴んだ。そして、捨て犬のような哀れっぽい目を向ける。

「でも、この道、人っ子一人通らないよ? 君たちがいなくなったら俺一人になっちゃう。怖いんだけど」

葵は容赦なくその手を振り払った。

「なら、ここで野垂れ死ねば」

男に一度情けをかけて、恩知らずな仕打ちを受けたばかりだ。もう二度とお人好しな真似はしない。

梨乃がさらに蓮を突き飛ばして距離を...

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