第26話

執事がおそるおそる口を開いた。

「若奥様はまだお戻りではありません。先ほど百合子様にお電話があり、今夜はご友人との集まりがあるため、お帰りにはならないとのことでした」

帰らないだと?

和也の眉間に険しい色が浮かび、次いで鼻で笑う音が漏れた。

「勝手にしろ」

蓮を善人だとでも思っているのか。

痛い目を見て、後悔すればいい。

彼は陰鬱な顔つきのまま中庭へ向かったが、出入り口のところでふと足を止めた。

後ろに控えていた執事が慌てて立ち止まり、怪訝そうに和也を見る。

「何かご用でしょうか」

「あいつに電話しろ」

和也は短く命じた。

「それは……」

執事はためらいを見せた。

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