第33章

「葵」

雪菜は立ち上がり、涙ぐんだ瞳で葵を見つめた。

「私はただ、生きたいだけなのに。それすら駄目なの?」

ぽろぽろとこぼれ落ちる涙は、ひどく哀れみを誘う。

和也はそっと雪菜を腕に抱き寄せ、その大きな手で背中を優しく撫でてなだめた。

雪菜も彼の腰に腕を回し、すがるようにその胸にすり寄る。

これではまるで、葵が愛し合う二人を引き裂く悪人ではないか。

葵は胸の奥に込み上げる酸鼻な思いを押し殺し、無表情で二人を見つめた。

「ずいぶんと愛し合ってるのね。いっそ――」

「いい加減にしろ!」

和也の怒声が再び飛んだ。

彼が葵に向ける視線には、失望だけでなく、どこか別の感情も入り混じ...

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