第45章

「ルールは簡単だ」

臨時レフェリーを務める大毅が、二台の車の間に立って声を張り上げる。

「この峠道を一周して、先にここへ戻ってきた方の勝ち。安全第一で、死ぬ気で走るなよ」

最後の言葉は、意味ありげに和也へ向けられたものだった。

和也は窓越しに、隣の車にいる葵をじっと見据えていた。

葵はまっすぐ前を見据えたまま、彼の方を見ようとはしない。

むしろ、助手席に座る蓮が雀のようにちゅんちゅんと喋り続けている。

和也は眉をひそめた。

これほどまでに負けず嫌いな感情が湧き上がったことはない。胸の奥でくすぶる苛立ちをねじ伏せるためだけではない。それ以上に――彼女を征服したかった。

「スリ...

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