第14章

星川千奈は反射的に彼女の腕を掴もうとした。けれど、もう遅い。小林琴音が階段から転がり落ちた――!

キィィッ、と耳を裂くようなブレーキ音。黒いマイバッハは、小林琴音のすぐ手前……二メートルもない距離で止まった。

ドアが乱暴に押し開けられ、鳴瀬颯真が飛び出してくる。

ヘッドライトの刺すような白い光の中、鳴瀬颯真の視界に映ったのは――階段の上で、まだ手を伸ばしたまま固まっている星川千奈の姿だった。まるで、押した直後みたいに。

一方、階段の下では小林琴音が無様にうつ伏せになり、腕も手も全身が擦りむけている。足首を押さえ、涙でにじむ目のまま駆け寄ってくる鳴瀬颯真を見上げた。

「颯真……痛い…...

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