第17章

「颯真様っ、若奥様が気を失われました!」

英子の上ずった叫びが飛ぶ。

鳴瀬颯真はちょうど階段の手前まで来ていた。瞳の奥に、かすかな動揺がよぎる。

床に伏した、息の気配すら薄い女を見下ろした瞬間。心臓の奥が、知らない痛みでずきりと鳴った。

「……くそ」

吐き捨てた呪いは、星川千奈に向けたのか、自分に向けたのか。

今日の数鞭は、千奈への「躾」だけが目的じゃない。鳴瀬家にも小林家にも、さらには世間にも見せる必要があった。

鳴瀬グループの舵取りとして、妻が公の場で粗相をした。ここで罰を与えなければ、誰も納得しない。

しかも件はメディアにまで漏れている。世論に説明が立たなければ、株価は...

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