第183章

医師は腑に落ちない顔のまま、ふと振り返って鳴瀬颯真を見た。

鳴瀬颯真は、星川千奈のこわばった横顔を重く見つめる。そこには、確かめるような色が滲んでいた。

医師は言葉を選ぶように少し間を置き、口を開く。

「鳴瀬さんが献血できないとなると、現状は同じ血液型のボランティアを探して、提供してもらうしかありません」

それだけ告げると、医師は踵を返して出ていった。

鳴瀬颯真は星川千奈を一度、深く見てから、彼女を病室に残したまま足早に追いかける。

ほどなくして永太には無事に輸血が行われた。供血者は、去年鳴瀬颯真が助けた少年の兄だった。

あのとき鳴瀬颯真の処置が間に合い、弟は命を繋いだ。今回の...

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