第19章

鳴瀬颯真が中へ入ると、桐原卓也がカルテを手に、ひとりの女の子へ丁寧に説明しているところだった。

所作はどれも自信に満ち、落ち着き払っている。名家の御曹司らしい矜持と、どこか奔放な気配が同居していた。

「ありがとうございます、桐原先生。あの……LIME、交換してもいいですか?」

頬を染めて、女の子が恐る恐る言う。

鳴瀬病院の外科主任は、学歴もトップクラスで家柄も申し分ないうえ、背が高くて顔もいい――そんな噂は前から聞いていた。

まさか患者に対しても、ここまで優しいとは。女の子は思いきってLIMEをねだったのだ。

桐原卓也は即座には断らず、微笑みを崩さない。

「今後、何か不安があれ...

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