第192章

近ごろは息が詰まるような日々が続き、彼はますます、過去の記憶に溺れやすくなっていた。

思い返せば返すほど、はっきりしてくる。――もしかしたら、出会ったその瞬間から。彼女は一度たりとも、自分に本気になったことなどなかったのかもしれない。

「千奈……この何年も絡まり続けた恋でさ。最初から最後まで、負けっぱなしだったのは俺だよな?」

ゆっくり顔を上げる。瞳の奥に水の膜が張り、熱と執着を宿した視線が、彼女をまっすぐ射抜いた。

しばしの沈黙のあと。 星川千奈は静かにため息をこぼし、ただ一言だけを投げかけた。

「鳴瀬颯真……あなたって、本当に薄情な人」

その言葉に、鳴瀬颯真の心臓はずしりと重く...

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