第213章

星川千奈も気づいていた。宴が始まって間もなく、数人の叔母たちがやけに甲斐甲斐しくおばあさんの腕を支え、二階の部屋へ連れて行ったきり、いまだに戻ってきていない。

「じゃあ、上で少し休む?」

星川千奈は目尻をやわらかく細め、そっと応じる。

もともと彼女は淡い雰囲気の装いを好んでいた。けれど今夜はメイク担当が、あえて華やかで凛とした濃いめのメイクを施した。紅い唇に白い歯。艶やかで、目を奪うほど美しい。

本人は気づいていない。けれど、その笑みは驚くほど人を惑わせた。

鳴瀬颯真は堪えきれず、ふっと顔を寄せて彼女の唇に軽くキスを落とす。

星川千奈が身を引くより早く、彼の唇はもう離れていた。

...

ログインして続きを読む