第222章

男は黙って報告を聞いていた。闇に溶けた顔には、感情の揺れが一片もない。

「それと、本日午後、鳴瀬さんが一度本家へ戻られまして。お帰りの際、遥樹様に反省を命じられたそうです」

男の眉が、わずかに寄る。

「遥樹様が永太様を階段から突き落としかけたのが理由だとか」

「小林琴音のほうは?」男は視線を上げ、低く尋ねた。

「小林さんは本日、病院を抜け出して鳴瀬家の本家へ向かいました。こちらの者が合流し、無事に回収しています。……彼女は、あなたが人を出したことに気づいています」

沈黙が長く落ちた。

男は片手をひらりと振る。護衛は無言で一礼し、部屋を出ていった。

残された闇の中、男の瞳がいっ...

ログインして続きを読む