第231章

星川千奈は彼を見つめた。

「鳴瀬颯真。私たち、十年も絡み合ってきた。幸せより苦しい時間のほうが多かったよね。私の人生、そんなふうに十年を何度も使い潰せるほど長くないの」

「移植手術は成功したし、今のところ副作用もない。でも……これは結局、時限爆弾みたいなもの」

「あなたは健康だよ。これから先、健康な奥さんを迎えて、可愛い子どもだって持てる。私は永太だけ。これからも永太だけだから……連れて行く」

鳴瀬颯真は、永太を奪い合う気などさらさらなかった。永太は彼女の命であり、彼の命でもある。

別れたいという彼女の申し出に、彼は肯定もしなければ否定もしなかった。逃げていれば、いずれ全部なかった...

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