第25章

向かいの商業施設もまた、同じくらい注目を集めていた。

小林琴音は、自らが手がけたハイジュエリーブランドのオフラインイベントに招かれ、取り巻きに囲まれながらワンボックスの送迎車から降りる。

入口前には、すでに大勢のファンが詰めかけていた。琴音は立ち止まらず、ボディガードとアシスタントに挟まれるようにして足早に館内へ入っていく。

扉をくぐる直前、彼女は振り返り、笑顔で手を振って応えた。

――けれど。

視線がふと、見慣れたロールスロイスをかすめた瞬間、琴音の瞳が数秒だけ、硬直する。

ちょうどその頃、星川千奈が車から降りたところだった。

「さっきの、鳴瀬社長の車じゃありませんでした?」...

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