第43章

星川千奈は、今夜――鳴瀬颯真が家にいると分かっていた。

中庭を抜ける途中、ガレージに停められたマイバッハが目に入る。

「若奥様、お夕飯はお済みでございますか?」

玄関の扉が開く音に気づいた石川さんが、すぐに出迎えてきた。

「うん、もう食べた」

星川千奈が答えると、石川さんは彼女の顔色を見て眉を下げる。

「若奥様……お加減が優れませんか?」

「ちょっと疲れてるだけ」

無理に口元を持ち上げ、星川千奈は問いかけた。

「颯真は……上にいる?」

石川さんは、いつもの朗らかな調子でうなずく。

「はい。颯真様、今夜はお帰りが早うございました。今は書斎でございますよ」

星川千奈は唇を...

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