第49章

星川千奈はぷくっと頬を膨らませたまま、しぶしぶ中へ入った。

「鳴瀬颯真、言っとくけどね。これが最後よ。手伝えっていうなら。契約で人前では協力するとは書いてあったけど、昔みたいにあなたの身の回りの世話までしろなんて、一言もないから!」

左手側、二つ目のクローゼットを引くと、彼の部屋着が目に入る。

千奈はそれを乱暴に引き抜き、そのまま鳴瀬颯真の胸元へ叩きつけた。

鳴瀬颯真が一瞬だけ目を見開く。低く沈んだ声が落ちる。

「……前からそう思ってたのか。俺のこと、世話してやってるって」

星川千奈は、乾いた笑いをこぼした。

「あなたの機嫌を取るために、朝早く起きて、好きなものを出来たてで作っ...

ログインして続きを読む