第50章

鳴瀬颯真の怒りと怨嗟が混じった視線が、まっすぐ彼女に刺さった。

「ごめんなさい。ほんとに、わざとじゃなくて……あなたが触ってきたから……私、つい……」

――今は責任の押しつけ合いをしている場合じゃない。

「救急箱、取ってくる」

星川千奈は慌ててベッドを降り、クローゼットを開けるなり最短で救急箱を引っ張り出した。

包帯を丸ごと一本、ぐいっと引きちぎるように取り出し、厚く折り重ねる。

鳴瀬颯真の手を持ち上げて、額の端の傷にそのガーゼを押し当てた。

「……傷、けっこう深い。今すぐ病院に行こう」

千奈が覗き込むと、傷は長く深く裂けていて、血が止まる気配もない。分厚く重ねたはずのガーゼ...

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