第64章

鳴瀬颯真は彼女に言葉を奪われ、吐き捨てるように言った。

「それは悪かったな。今日の午後は……嫌いな俺と一緒に過ごす覚悟でもしておけ」

わざわざ郊外の湖まで連れてきた時点で、帰れなくしてやる腹はできている。

「鳴瀬颯真、いったい何がしたいの?!」

「日が沈むのを待って、星を見る」

鳴瀬颯真は、彼女が想像した以上に淡々としていた。

いくら責め立てようが、脅そうが、甘い言葉で釣ろうが、びくともしない。

星川千奈はふと気づく。スマホが、バッグにない。

慌てて掻き回し――そこで思い出した。星川耀と揉めたとき、会社のエレベーターホールに落としたのだ。

そのあと鳴瀬颯真が現れて場が荒れ、...

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