第103章

関連事項を説明し終えた後、星谷由弥子は二通目の契約書を天宮和人の前に置いた。

「言うべきことはすべて説明したわ。これが二通目の契約書よ。まだ拇印が押されていないから、自分で拇印を押して署名してちょうだい」

星谷由弥子にそのような経験があるという話は聞いたことがなかった。履歴書に記載されていたコンピューター関連の受賞歴にも根拠がないようだった。

だが彼は反論をすることもなく、星谷由弥子の提案を断ることもしなかった。

天宮和人は眉間を揉んだ。彼の心の中の何か堅固な部分が、崩壊の縁へと向かい始めているようだった。

寝室に戻った星谷由弥子も黙ってはいなかった。木下浩介に電話をかけ、このプロ...

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