第117章

星谷由弥子は誰だ?

彼の弟子だ!

五年前に退学し、彼は一日たりともそのことを嘆かなかった日はなかった。

今、その生徒が再び彼の専門科目の授業に戻ってきて、教授はすっかり感情的になってしまった。授業終了まであと十分もあったのに、二つの課題を出して、すぐに星谷由弥子を呼び出して連れ出してしまった。

一日も経たないうちに、専門科目の教授三人が、同じような行動を取った。

星谷由弥子の名は帝都大学中に轟いた。

上原桃華は誰もが星谷由弥子の話をしているのを聞いて、怒りのあまり携帯電話を叩きつけた。

もう一方の手に持っていたバイオリンは壊せなかったからだ。

「あら、上原桃華、携帯どうしたの...

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