第156章

無秩序組織の人間ほど恐怖を煽るのが得意で、常に追い詰められる圧迫感で相手の足元を崩そうとする。

だが、天宮和人に出会ってしまっては話が別だ。誰が来ようと、何が起ころうと、一切表情を変えないこの男。

星谷由弥子でさえ、天宮和人ほど精神的に強い人間に出会ったことがないと感嘆せずにはいられなかった。

天宮和人は帝都の生ける地図と言っても過言ではなく、街中で次々と進路を変えていく。

「無秩序組織がまた人を寄越してきた!」

星谷由弥子はバックミラーから目を離さない。車線が広がるにつれ、後続車両も増えてきた。特に目立つ車が何台かあった。

「心配するな」

天宮和人は四方から集まってくる車両を...

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