第163章

「ほら、自転車乗って汗だくよ。ほら、早く拭いて」上原奥さんの優しい表情には愛情が溢れていて、すぐに紙を取り出して上原桃華の汗を拭いてあげた。

「帰ったらすぐにお風呂に入って、着替えなさいよ。風邪をひいちゃうから」

この前どれだけ不愉快なことがあっても、上原奥さんの桃華への愛情は本物だった。

上原桃華の学校の公演が中止になったと聞いて、海町からわざわざ足を運んできたのだから。

上原桃華はすぐに笑顔で返事をして、さっきのことには一切触れなかった。

上原奥さんは不思議に思いながらも何も言わず、笑顔で上原桃華の手を引いて別荘へと急いだ。

一方、星谷由弥子のほうでは、光明正大に無秩序組織と...

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