第171章

「そのまま行ってしまった?」青海喜子は少し呆然としていた。

「ああ、ご機嫌取りに行ったんだよ」

星谷由弥子は黙って立ち去る上原桃華の取り巻きと、近くの輪に加わった星谷清美を見て、眉を上げた。

さっきのあの一連の発言で、面倒な二人を追い払えるとは思ってもみなかった。

「やるじゃないか!」

青海喜子は遠ざかる上原桃華たちを見てから、星谷由弥子に向き直り、褒め称えた。

「人に会いに行かないの?」

行かないなら彼女は帰るつもりだった。ここで時間を無駄にするより、天宮拓海と遊んだ方がましだ。

「行こう行こう、絶対に私の友達に紹介しなきゃ。これからは星谷さんが私たちの唯一の姐御だよ!」

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