第178章

「成功か?」

千野言羽は30階の高層ビルに立ち、下界の光り輝く街並みと絶え間なく流れる車の列を見下ろしながら、上機嫌でワイングラスに赤ワインを注いだ。

電話の向こうの天宮東輔も同じく喜んでいた。「成功しました」

「ああ、急いで連れてこい。天宮和人のほうは止められなかったから、帰らせた」

「はいはい、もう手配しています」

天宮東輔は千野言羽以上に焦っていた。今夜中に事を成さなければ、星谷由弥子が気づいてしまったら、彼の命運は尽きる。

「ついでに頭を使って考えろ。この件を表に出さずに押さえるか、それとも大々的に公にするか」

この点に触れられ、天宮東輔は眉をしかめて思案した。

押さ...

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