第180章

黒いトヨタ・クラウンが猛スピードで走り抜け、両側のネオンライトが後方へと流れていく。

車内。

仕切りの向こうの密閉空間では、何気なく漏れる息遣い一つ一つが天宮和人の全身を刺激していた。

彼は星谷由弥子の肩を両手で拘束し、二人の間にわずかでも隙間を作ろうとしていた。

一見リラックスした表情だが、腕に浮き出た青筋が、男の自制が限界に近づいていることを物語っていた。

「星谷由弥子、俺は誰だ?本当に、後悔しないのか?」

星谷由弥子は小さく啜り泣き、彼の手を振り払うと、彼の首筋や胸元に貪るように吸い付いた。

口からは甘えた声が漏れ、両手は抑えきれずに下へと探りを入れる。

「欲しい……欲...

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