第274章

互いに張り合う二人は、どちらも頭を下げようとはしない。だが、みすみす好機を逃すつもりもなかった。

上原桃華はなみなみと注がれた六杯の酒に目をやり、眉を顰めた。

「三杯よ。時間は十分。嫌ならこの話はなしだわ」

「いいでしょう」

上原桃華が歩み寄ると、千野言羽もそれ以上は追い詰めなかった。

「さあ、あんたたち、スマホで録画しておきなさい。後で上原お嬢様に難癖をつけられないようにね」

上原桃華は冷ややかな視線を千野言羽に投げかけ、すぐにグラスを手に取った。眉を寄せ、込み上げる不快感を堪えながら、その烈酒を喉に流し込む。

「知り合いか?」

白石安広は杯を空にし、妹弟子と交流を深めよう...

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